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レポート|LAST SNOWレクチャー 第6回

LAST SNOWレクチャー第6回「100年後の気候、100年後の札幌」を開催しました!

「LAST SNOWレクチャー」はアートだけではなく、科学やマンガ、まちづくりなどさまざまなテーマを切り口にしたレクチャー&ワークショップをお届けする、SIAF2024を一足先に体験することができるプログラムです。

8月19日(土)に開催された第6回のテーマは「100年後の気候、100年後の札幌」。お盆を過ぎると肌寒くなると言われている札幌ですが、この日の最高気温は32.2度を記録し、暑さが厳しい日となりました。

ゲストには環境分野の専門家である宇山生朗さんと、チトセコの角谷日花里さん、中塚茜さんをお呼びしました。非常に中身の詰まったレクチャーを、このレポートではほんの一部分だけご紹介します。詳細はぜひアーカイブ動画をご覧ください!

宇山生朗さん「気候変動と私たちの温度」

レクチャー前半は宇山さんから、気候変動問題の現状や、気候変動が及ぼす影響、国や地方自治体、経済界の取り組み、そして気候変動対策への行動についてたっぷりとお話をしていただきました。

まずはじめに、気候変動対策に関する価値観が、日本と世界の主要各国では異なっているというデータが示されました。日本では多くの人が、気候変動対策に真剣に向き合うことにより、自らの生活の質が脅かされるといった、ネガティブなイメージを持っているという調査結果があります。一方で諸外国では、脱炭素化を必要とするこの現状をビジネスチャンスと捉え、技術開発に力を入れたり、その技術を輸出することで、経済を豊かにしつつ、世界規模の環境問題に貢献しようと考える国が増えているのだとか。デンマークや中国等が例として挙げられていました。

また気候変動による事例として、海水温の上昇で漁場が変わり、私たちの食文化にも変化をもたらす可能性や、感染症の媒介となる蚊が現れる等、何だか厳しい現実を突きつけられるようなお話も。

確かに私たちの日常の中でも、天候不良などが原因で野菜が値上がりしたり、実際に海水温の上昇でシャケが不漁となっているニュースが取り上げられるなど、日常生活の中で誰しもが、気候変動による影響をじわじわと感じているのではないでしょうか。

このように、気候変動に関して身近に感じているものの、何だかスケール感の大きな話と感じてしまい、実際に環境のための行動に移れる人はそう多くはないはずです。レクチャー後半では、そんな人たちの背中を押してくれるような取り組みをしているチトセコさんにお話いただきました。

チトセコさん「学ばさるプロジェクト~気候変動ジブンゴト化!?」

レクチャータイトルにある「学ばさる」という言葉。「~さる」とは、意図せずしてしまうことを強調する場面に使う北海道の方言です。「学ばさる」とは、つまり、「気づいたら、学んじゃってた!」という意味になります。

チトセコさんは、子どもも大人も、環境問題への意識がジブンゴトになるような、楽しく「学ばさる」取り組みをしていて、事例として、「エコチャレンジ!CLEANGO‐クリーンゴ‐」等をご紹介いただきました。

「エコチャレンジ!CLEANGO‐クリーンゴ‐」は、街に落ちているゴミを予想してビンゴ用紙に記入し、実際に街に出て、予想したゴミが落ちているのか、答え合わせのようにゴミ拾いを体験できるイベント。ゲーム感覚で参加できて、何だか楽しそうです。

チトセコさんの活動紹介の後は、参加者同士でグループをつくり、「生活の中で、できることはなんだろう?」をテーマにアイデア出しをしました。

各グループからは、以下のようなアイデアが出てきました

・節水する。シャワーを出しっぱなしにせずに、水を貯める。
・マイストロー、うちわを使う。エスカレーターを使わない。家電のコンセントを抜く。
・ペーパーレスにする。公共交通機関を使う。早寝早起きをして電気を使う時間を減らす。
・小さいペットボトルではなく、大きめのペットボトルを買う。

またオンライン参加者のみなさんも、会場参加者と同じように、生活の中でできることを考えて、YouTubeのコメント欄にたくさんアイデアを出してくださいました。ありがとうございました!


SIAF2024のテーマ「LAST SNOW」には、“LAST”という言葉が意味する「最後の」「この前の」そして、これからも「続く」雪の姿を思い浮かべながら、今、そしてこれからの世界を一緒に考えていきませんかというメッセージが込められており、今回のレクチャーのテーマとリンクしたものになっています。

札幌国際芸術祭2024 ディレクターメッセージ(テーマ発表)

LAST SNOWレクチャーは今回で最終回となります。気が付けばSIAF2024開幕まで残り4か月を切りました。開幕が近づくにつれて、どんな芸術祭になるのか、徐々に詳細が明らかになっていくと思いますので、楽しみにしていてください!

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